一般車両用のタイヤは走行距離や走行状況、保管場所の環境によって耐久性が大きく変化する。これらはサマータイヤでもスタットレスタイヤでも同じことがいえる。一般的なサマータイヤならスリップサインが出るまでは、ほとんどの場合安定した性能が得られる。しかし、スタットレスタイヤの場合はそうもいかない場合がある。そのことを確認してみよう。
スタットレスタイヤの構造とは
雪路や凍結路を走行可能にするためにはタイヤが滑らないようにしなければならない。タイヤが凍った路面で滑りやすくなる原因は、氷そのものではなく、氷が溶けることでできる水が氷の上に水の膜を作るからだ。
この水の膜がタイヤと氷の間に入ることでタイヤが滑ることになる。スタットレスタイヤを滑らないようにしている構造を説明する。
深い溝
スタットレスタイヤはサマータイヤ(普通のタイヤ)に比べて、溝の凹凸が深く作られている。この溝によって積雪路で溝が雪を噛むことによりグリップ力を得ることができる。また、サイプと呼ばれるタイヤのブロックに掘られた溝がコーナーリングやブレーキの際にブロックを変形させることでもグリップ力を得ている。
やわらかいゴム
凍った路面は平らに見えるが表面には細かい凹凸がある。その路面でも走行するためにはゴムが柔らかく、路面の凹凸に合わせて密着できることが重要である。そのため、スタットレスタイヤのゴムは低温でも柔軟さを保つような特別な素材が使用されている。また、ゴムの中に固いものを混ぜて路面を引っ搔いて進むことで氷上性能を向上させている。
除水性能
凍結した路面上でタイヤが滑らないようにするには、タイヤと氷の間の水膜を取り除くことが重要である。タイヤのパターンや、構造などを工夫することでタイヤの除水性能を向上させている。
スタットレスタイヤの寿命
一般的には3~4シーズンと言われている。状態によってはもっと短命になることもあるだろう。上手く保管や使用していてもスタットレスタイヤとして認められなくなる場合がある。それはタイヤの摩耗によってプラットフォームが現れたときだ。
プラットフォームとは、ブロック同士がつながる場所に作られている突起である。タイヤが50%摩耗したことを知らせる目印だ。スタットレスタイヤは、新品の状態から50%摩耗すると氷雪路でのグリップ性能が大きく低下してしまう。
たとえ、プラットフォームが露出していなくても、トレッド部にひび割れがあったり、偏った摩耗がある場合は、タイヤ交換の必要がある。偏摩耗はタイヤが路面と接する面積が減ることで、ブレーキ性能などを十分に発揮できなくなるからだ。また、ひび割れはタイヤのゴムが劣化したり内部のワイヤーが切れたりする可能性があり、バーストを起こして事故の原因になることもある。
スタットレスタイヤの寿命を延ばす方法
タイヤの寿命を延ばす方法として大切なのは、日常点検である。乗車前に傷がないかを確認し、空気圧やタイヤの摩耗具合を溝の深さで確認する。
早く偏摩耗に気づくことができればタイヤの位置を交換することでタイヤの寿命を延ばすことができる。
空気圧の点検は、月に1度は行いたい。空気が不足していると、タイヤの接地面積が大きくなるとともに、大きく変形してしまうことで、摩耗しやすくなり寿命が縮んでしまう。
保管方法は、涼しく暗い場所でポリ袋などに入れて保管したい。タイヤはゴム製品なので、直射日光や雨が当たる場所だと劣化が進んでしまう。空気圧を半分程度のに減らしておくとなおよいだろう。
まとめ
雪道や凍結した道を走行するのに必要不可欠なスタットレスタイヤについて解説した。
スタットレスタイヤを安全に長く履きこなして、冬の車の運転をより安全なものにしたいものだ。