“日本の風習”年越しそばとは?そばに込められた思い

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日本ではほとんどの地域で大晦日に食べられるのが「年越しそば」だ。

日本人はなぜ大晦日にそばを食べるのだろうか?年越しそばの歴史は?地域によって具材や食べ方の違いをまとめていく。

年越しそばはいつから始まったのか?

年越しそばはいつから大晦日の風習になったのだろうか?

諸説あるようだが江戸時代の前期から中期とみられている。

商家が繁盛した元禄年間(1688~1703年)に当時の大店である江戸日本橋の越後屋呉服店(現在の三越日本橋本店)を詠んだ句がある

『百人のそば食う音や大晦日』

また、1750年の俳諧師・服部嵐雪も句にも年越しそばが詠まれており、その頃には年越しそばを食べる風習が始まっていたようだ。

『蕎麦うちて鬢髭白し年の暮』

寿命を伸ばす細く長いそば 食べられる理由とは?

年越しそばが食べられている理由は諸説ある。

形状に由来する説

細く長く伸びているそばは寿命を延ばし家運を延ばす縁起物だと言われている。

畑のそばは雨風にさらされ倒れても起き直り捲土重来(けんどじゅうらい:物事を一度失敗したものが非常識な勢いで盛り返すこと)を期すため。

また、ほかの麺類に比べて切れやすいことから、その年の一年間の苦労を年内に切り捨てて翌年に持ち越さないようになると言われている。

効能に由来する説

五臓六腑の汚れを取り除き、健康効果を期待されている。

江戸時代1697年に著された『本朝食鑑』には、蕎麦(そば)は気を降ろし腸を寛(ゆる)し、能く腸胃の滓穢積滞(しぎせきたい)を練る』と記されていることから、年越しそばを食べることで新陳代謝を高めて体内をきれいにし翌年に備えるというものである。

金銀細工に携わった職人に由来する説

金銀細工師が金粉を集める際に練ったそば粉を使っていたことにより、そばは金を集める縁起物とされていることと金箔師も金箔を作る際に金を延ばす台をそば粉で拭うとよく延びたことから、そばは金を延ばすために縁起のいい食べ物とされている。

その他

鎌倉時代には貧しさのために年の瀬をしのげない人々に福岡県博多の商人・謝国明(しゃこくめい)が承天寺で、『世直しそば』と称してそばの餅を人々にふるまったことがあり、翌年から食べた人々の運気が上がり、大晦日にそばを食べる風習が生まれたと言われている。

日本各地のそばに込められた思い

年越しそばにおいて日本各地で地域によっての特徴が見られる。

一般的には海老の天ぷらを載せた天ぷらそばではないだろうか。

北関東ではけんちん汁にそばを入れた「けんちんそば」を年越しに食べる地域があるようだ。けんちん汁は関東地方でよく食べられている縁起物である。

大阪や京都では「にしんそば」を食べる家庭が多いようだ。にしんそばはにしんを甘辛く炊いた棒煮を載せた温かいそばだ。にしんは「二親」と漢字が当てられ、にしんの卵の数の子と同様に子孫繁栄の願いが込められている。

その他の地域で岩手県/わんこそば、新潟県/へぎそば、福井県/越前おろしそば、出雲(島根県東部)/割子そばなど、各地域のご当地そばを年越しそばとして食べることが多いようだ。

どの地域でも薬味にはネギが添えられており、一年の労をねぎらうの意味が込められている。

食べ残しはいけない?新しい年に苦労する?

年越しそばは大晦日のいつ食べるべきなのだろうか?

夜と夜中に食べるのが大半であるが、朝・昼・夕方・明けてからなど家庭によって違うようだ。

年越しそばは食べ残すと新しい年に金に苦労すると言い伝えられており、残さずにきれいに食べるのが望ましいだろう。

まとめ

大晦日の習慣である年越しそばだが、古くから人々の様々な思いが込められた縁起物だ。

一年を振り返り、新年をいい年にできるよう祈りながら、年越しそばを食べてみてはどうだろうか?

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